コンセプトを考える3つの視点
デイサービスを開業するのであれば、その「創業する動機(なぜデイサービスを開業するのか?)」というものがあることと思いますが、それを満たすためにはどのようなデイサービスであればよいか?という視点の元、下記3つの項目について検討します。
- だれに?
- どんなサービスを?
- どのように提供するのか?
1.誰にサービスを提供するのか?
デイサービスに限らず、どんな商売でも、どのようなお客様を自社のメインターゲットとするのか?(顧客属性)という点を意識してビジネスを開始することと思います。デイサービスにおいては、それは下記のような点が判断材料となります。
- 利用者の地域
- 利用者の要介護度
- 利用者の症状・ニーズ
利用者の地域
どのような地域に住んでいる高齢者や要介護者をターゲットとするのか?(デイサービスの営業地域)を決めます。その際は、その地域の需要の程度(高齢者の人数や実際に介護が必要な人がいそうかどうか?)や競合他社の数などを意識して決定する必要があります。
利用者の要介護度、利用者の症状・ニーズ
要介護度の異なる全ての利用者に満足してもらえる施設をつくることができれば、それは理想的ですが、現実にはそれは難しいことであると思います。なぜなら、要介護度が異なれば、各利用者に対する必要となるサービスも異なってくるからです。また、仮に要介護度が同じでも、各利用者ごとの状況や症状が違えば、それに対して必要となる支援(ニーズ)も異なってくることでしょう。
したがって、この点を明確にすることにより、どのような内容のサービスを提供したらよいのかがはっきりして、またそれを実現するために必要な設備・人員等も明確になってきます。
2.どんなサービスを提供するのか?
デイサービスの商品ともいえるラインナップの代表例には下記のようなものがあります。
- 食事
- 入浴
- 機能訓練
- レクリエーション
- 送迎
上記のうち「送迎」については、すべての事業者において行われるものですので、それ以外の4つの項目について、自社の経営戦略やコンセプトに従って提供するサービスを取捨選択して実施することになります。この提供するサービスの選択においては、上で述べたターゲットの想定とも密接に関係してきます。
たとえば、一人暮らしの高齢者をターゲットとする場合であれば、栄養バランスのとれた食事を提供することは、喜ばれるサービスとなるでしょう。また、足腰が弱くて一人で入浴することが難しい高齢者をターゲットとするのであれば、入浴サービスを提供することは、喜ばれるサービスとなるでしょう。
また、最近は比較的軽度の要介護者の利用を想定した、機能訓練特化型のデイサービスも増えております。機能訓練と一口で言っても、どのような症状の利用者を想定した機能訓練を行うのか?によって、また、さまざまな特色を打ち出すことができます。
このように、提供するサービスを選択することにより、自社のデイサービスは何をセールスポイントにしているのか?競合他社とはどのような部分が違うのか?(差別化)を打ち出すことができ、それが自社のデイサービスを選んでもらえるポイントになり、また、デイサービス経営の成否を分ける重要なポイントとなるでしょう。
3.どのようにサービスを提供するのか?
どんなサービスを提供するのかがはっきりしてくれば、それに必要となる設備や人員も明確になってきます。たとえば、食事を提供するのであれば、厨房設備や調理スタッフなどが必要になってきます。入浴サービスを提供するのであれば、浴室が必要ですし、入浴介助に慣れたスタッフも必要になってくるでしょう。また、機能訓練を行う場合は、機能訓練の内容に応じた機能訓練指導員となる資格者(理学療法士等)も必要です。
このように、必要となる設備や人員が明確になれば、初期投資にかかる費用や毎月の人件費等の運転資金もある程度予測がつくようになります。その結果も踏まえて、すべてを自社のスタッフでまかなうのか?、もしくはアウトソーシングも活用するのか?などを検討します。
アウトソーシングを活用するのであれば、たとえば、送迎については外部の業者に委託することができますし、食事の提供を行う場合でも、外部の高齢者向け配食業者等を活用することができます。それによって、車両を自前で持つことは不要になったり、厨房設備にもお金をかける必要がなくなったりして、それが初期投資の削減につながります(ただし、毎月の運転資金は増えることになります)。
デイサービスは売上の上限がほぼ決まったビジネスですので、注意点を踏まえた上で適切にアウトソーシングなども活用して、上手に利益を出していかなければなりません。
アウトソーシング活用のメリット・注意点
メリット | 注意点 | |
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送迎 |
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食事 |
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食事の提供をセールスポイントとする場合は、外部の業者に委託することが適切であるのかどうかを検討する必要がある。 |